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私はある年の4月中旬、スノーボードのジャンプ台で着地に失敗して距骨頸部骨折(きょこつけいぶこっせつ)をしてしまいました。骨折から診断、松葉杖生活、仕事復帰までどのような状態だったのか、生活する上で注意するポイントや助けられたアイテムを、実体験としてまとめます。
※本記事は私個人の体験談です。症状や治療方針は人によって異なります。実際の治療・リハビリは必ず医師の診断と指示に従ってください。
距骨頸部骨折とは
スネからなる骨をずっと辿って足の指まで見た時に、横から見て90度に曲がっている部分に存在する骨が「距骨(きょこつ)」です。位置としては、横から見るとくるぶし辺りになります。
あとで医師から聞いた話ですが、距骨は周りを走っている血管が極端に少なく、治りが悪い骨なのだそうです。だからこそ「壊死(えし)リスク」という言葉とセットで語られる骨折でもあります(くわしくは診断のところで書きます)。

事故の瞬間:疲れた頭で選んだ「トーエッジ」が命取りだった
折れたのは、スノーボードパークのキッカー(ジャンプ台)でフロントサイドスピン(体をつま先側へ開いていく回転。私の場合は反時計回り)をやった時です。回転不足が発生して、270度——つまり板が真横を向いた状態で着地してしまいました。
いつもなら、ランディング(ジャンプ台から飛んで着地する斜面)の斜度に板の角度を合わせて、板をずらしながら止まります。何回もやってきた回転で、回転不足になるとは思ってもいませんでした。でもその日は朝からずっと滑っていて、疲れて頭が回っていなかった。とっさに「逆エッジで吹っ飛ぶのだけは避けたい」を優先してしまい、ランディングに合わせる選択肢が頭からなくなって、つま先側(トー側)のエッジを立ててしまったんです。エッジが雪面に刺さり、その衝撃で距骨が折れました。
今振り返ると、これが私自身で防げた一番の原因だったと思います。疲れている時の「あと数本」が一番危ない——これはこの記事で一番伝えたいことかもしれません。
折れた直後は「強めの捻挫」だと思っていた
スノーボードで折った時も「ボキッ」といった音はせず、強めの捻挫をした感じで捉えていました。実際、折ったあとそのまま立ち上がって下まで滑り、知り合いと来ていたこともあって「あと1回滑ろう」となり、短い距離(約1km)を1本滑っています。途中で少し違和感を感じたので、それ以上は滑らず板の雪を払って車に戻りました。
もしかしたら、アドレナリンやドーパミンが出ていて、骨折の痛みをそれほど感じなかったのかもしれません。骨折直後でも「滑れてしまう」ことがある——これは本当に怖いことだと思います。
数時間後、温泉の駐車場で立てなくなった
着替えを済ませ、少し汗をかいたので帰路のそばにある温泉に寄って疲れを取ろうと車を走らせました。この時までは特に変わりなく、両足で歩けていました。
ところが目的地の温泉に着いて運転席から出ようとしたところ、折れた左足で踏ん張ることができませんでした。急に激しい痛みが発生して、片足でしか歩けない、怪我した足は地面に付けられないほどの状態です。まるで傷口で直接地面に立つような痛みでした。
生まれて今まで骨折をしたことがなかった私でも、直感で「折れてる!」と感じたのを鮮明に覚えています。温泉は断念して、片道約2時間の帰路につくことにしました。
地獄の帰り道:氷を足首に巻いて2時間運転
そこからは、運転席の床に足を置くのも痛い状態です。オートマの車なので左足は使いませんが、置いているだけで痛い。左手をグーにして左太ももの下に潜り込ませましたが、それでも耐えられませんでした。そこで空の2Lペットボトルを太ももと座席の間に潜り込ませて、左足が浮いた状態を作ることで、ようやく少しマシになりました。
途中トイレに行きたくなってコンビニに寄りましたが、ケンケンでしか店内を移動できないほど左足は使えなくなっていました。コーヒーを買おうと思いましたが、トイレが近くなるとまたケンケンする羽目になるので諦めて、お酒用のブロック氷とレジ袋を購入。袋に氷を開け放ち、溶けても水が漏れないように固結びをして左足首に取り付けて、なんとか家に着きました。
家に着いたのは土曜日の夜。足を地面に着けなければそこまで痛くなかったので、頑張ってシャワーを軽く済ませ、その日は早めに就寝しました。
診断:距骨骨折、そして「壊死リスク」の説明
翌日は日曜でしたが、朝一で病院の救急外来へ。レントゲン撮影で距骨骨折と診断されました。会社への迷惑やその後の生活など、色々頭の中をよぎりましたが、どうすることもできません。ただ、土日で担当医が不在だったため「詳しいことは明日、担当医から」とのことで、簡易的なギプスを巻いてもらい、ロキソニンを処方してもらって帰宅しました。
翌日の朝一にあらためて受診し、MRIも追加で撮影。そこで距骨の説明を受けました。「距骨は周りに走っている血管が極端に少なく治りが悪いので、壊死リスクがあります。こまめにレントゲンやMRIを撮って、骨がくっついてきているか(治癒していっているか)を診ていく必要があります」——初めての骨折でこの説明は、正直かなり堪えました。

あとになって分かったのですが、骨折後は患部が炎症しているので、温泉に浸かると悪化して痛みが増す恐れがあるそうです。あの日、温泉に入れなかったのは不幸中の幸いでした。あのままサウナに入ろうとしていたかと思うとゾッとします。
治療方針:幸い、手術なしの経過観察に
折れてはいるけれど比較的きれいな折れ方をしているので、手術をせずにこのまま経過観察でいきますという診断でした。手術の方が早く治るとは聞きましたが、正直手術が怖かったので、回避できてものすごくホッとしたのを覚えています。入院もありませんでした。

回復までのタイムライン
- 松葉杖の期間:約2〜3か月。両手用→片手のみ→松葉杖なし、の順番で卒業していきました
- 約3か月半で、足を引きずりながら何とか歩けるように。他の人と比べたら歩くのはかなり遅かったです
- 体を動かす仕事への復帰は7か月後。それまではPC業務をひたすらやっていました
- 車の運転は、折れたのが幸い左足でAT車だったので、怪我の期間中もなんとか続けられました

松葉杖生活で一番困ったのは「買い物」
はじめのうちはドライブスルーやデリバリーサービスを使っていました。ただ、さすがにファストフードばかりだと栄養が偏りますし、骨折で体を動かせないのも相まって体重増加の不安があり、なるべく使わないようにしていきました。

そうなるとスーパーに行くことになります。食料品だけでなく、洗剤やトイレットペーパーなどの日用品も必要だからです。ここで問題になるのが、両手に松葉杖を持った状態で、パンパンに詰まった買い物袋を2つ抱えて帰らなければいけないこと。バランスを崩しそうになるし、体力を使うし、夏場だったのも相まってものすごく暑い。とにかく大変でした。
あと、私はコンビニコーヒー(レジ横で淹れる出来立てのコーヒー)が好きなのですが、松葉杖では車に戻るまでにかなりこぼしてしまいます。このためだけに楽天でドリンクホルダー(カップキャリー)を購入したほどです。
選んだのはゴム製の、正直ちょっと安っぽいやつです。革製のしっかりしたものや、おしゃれなデザインのものもありましたが、高額だったり女性好みのデザインだったりで、いいものが見つかりませんでした。「足が治れば使わなくなる」ことを考えると、高額である必要はない。低額で使いやすそうでシンプルなもの——という基準でこれに決めました。結果は大正解。ゴム製なので多少の伸縮があり、車のドリンクホルダーに入るくらいの大きさの容器なら問題なく運べます。

お風呂・シャワー問題と「足用カッパ」
買い物の次に大変だったのがシャワーです。ギプスは濡らせないので、そのままでは満足に体を洗えません。そこで買って良かったのが、ネオプレン素材の繰り返し使えるギプスカバー(防水シャワーカバー・大人の足用)。いわば「足用カッパ」です。
太もも辺りから足の指までスッポリ入るカッパ素材の袋で、足を通す部分がウェットスーツのようなゴム素材になっています。少し引っ張り広げて足を通し、手を離すと太ももにフィットする作りです。これとは別に、足を通す所がシリコン素材の少し安価なものも売られていますが、レビューを見るとシリコン素材は水の侵入があるという内容があったので、少し高くてもネオプレン素材のものを強くおすすめします。

包帯とサージカルテープのローテーション
もう一つ買った方が良いのが包帯とサージカルテープ(包帯を留めるテープ)です。Amazonでも近くの薬局でもどちらでも構いません。全治に向かう途中でギプスを半分に割り、包帯で巻き付ける状態になります。この時期になると足を洗える可能性が出てきます(あくまで入浴の時期は主治医と相談して決めてください)。せっかく綺麗に洗った足に汚れた包帯を巻き付けたくないですよね。包帯とサージカルテープは合わせて1,000円もしないぐらいで買えるので、複数用意して包帯のローテーションをするのが、ニオイが気になる方にもおすすめです。
というより、交換しないと汚れた包帯のまま布団で寝るはめになります。仮に洗濯するとしても、乾くまでの間に使う替えの1式は欲しいところです。
※包帯とサージカルテープを私は近所の薬局で買いました。Amazonや楽天で買うなら、例えば次のような同種のものです。


その他、あって助かったもの
- パックごはん:レンジでチンするだけ。ササッと準備して、料理をせずに食事を済ませられます
- キャスター付きの椅子:折れた足を載せて、部屋からトイレや玄関まで自分を運んでくれます。有るのと無いのとでは移動のストレスが全然違います
- 冷凍食品や出前:動けない時期の強い味方(栄養の偏りにはご注意を)
- クロックスのような脱ぎ履きしやすい履物:片足が不自由だと、靴の脱ぎ履きすら一仕事です
■ パックごはん 私はアイリスオーヤマのものを何度もリピートしています。

■ キャスター付きの椅子
※私の椅子は近所のホームセンターで購入したもので、型番が分かりません。買うなら例えばこの種のものです。

■ クロックス(バヤバンド クロッグ) 私が実際に履いているモデルです。

松葉杖生活で感じたこと
足の骨を折ると、生活の不便さを改めて感じます。階段は地獄です。さっきまでコンビニを走り回っていた小学生も、松葉杖の人物を見るとピタッと止まり、口を開けてジッと見てきます。ドアを開けてくれる人は仏に見えてきますし、雨の日に傘をさしてくれる人には感謝しかありません。
行動範囲は極端に狭くなりますが、「足が治ったらどこに行こう」と色々頭の中で考えると、それはそれで楽しくなってきます。
腫れのアイシングは「氷や水」で
注意点として、骨折直後は炎症で足が腫れます。腫れを緩和するには冷やすことが重要ですが、湿布では冷却効果は低いです(体感で冷えていても、実際には冷えていない)。私はアイシングは必ず氷や水で行うように教わりました。やり方は主治医に確認してみてください。
現在の状態:「治った」というより「慣れた」
痛みはかなり収まってきましたが、怪我の前と比べると、一定の痛みはずっとあります。しかもこの痛みは「良くなっている」という感じがしないので、完全に消えるにはかなりの年月がかかるんだろうなと思っています。
今も痛いはずなのに特段つらく感じないのは、体に多少の耐性が付いてきただけで、痛みの強さ自体は変わっていないんじゃないか——というのが私の考察です。
まとめ:同じ怪我をした人、スノーボードをする人へ
- 疲れている時の「あと1本」が一番危ない。頭が回らない状態では、いつもできる判断ができなくなる
- 骨折しても「強めの捻挫かな?」程度にしか感じないことがある。違和感があったら無理せず、早めに病院へ
- 距骨骨折は壊死リスクがあると説明される骨折。医師の指示どおり、こまめに経過を診てもらうことが大切
- 骨折直後の温泉・サウナは炎症を悪化させる恐れあり(私は偶然回避できました)
- 松葉杖生活は「買い物」と「シャワー」が二大難関。ギプスカバー・包帯ローテ・キャスター椅子が救世主
- 焦らなくていい。「治ったらどこへ行こう」を楽しみに
他にも書きたいことはまだまだありますが、この辺りで終わらせていただきます。同じ怪我をしてしまった方の不安が、少しでも軽くなれば嬉しいです。ありがとうございました。

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