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私はある年の4月中旬、スノーボードのジャンプ台で着地に失敗して距骨頸部骨折(きょこつけいぶこっせつ)をしてしまいました。骨折から診断、松葉杖生活、仕事復帰までどのような状態だったのか、生活する上で注意するポイントや助けられたアイテムを、実体験としてまとめます。
※本記事は私個人の体験談です。症状や治療方針は人によって異なります。実際の治療・リハビリは必ず医師の診断と指示に従ってください。
この記事を読んでいる方の多くは、医師から「壊死(えし)のリスクがある」と説明を受け、不安な気持ちのまま検索を続けているのではないでしょうか。私もあの説明は正直かなり堪えました。
だからこそ、実際に経過観察で回復した一例として、私の場合の経過を時系列でお伝えします。
先に結論だけお伝えすると、私は春に骨折して、その冬にはゲレンデに戻ることができました。以前と全く同じとまではいきませんが、ちゃんとボードに乗って滑ることができています。
ここを最初に知っておくだけでも、少し気持ちが楽になると思います。
🦴 距骨頸部骨折とは
スネの骨をずっと辿って足の指まで見た時に、横から見て90度に曲がっている部分に存在する骨が「距骨(きょこつ)」です。位置としては、横から見るとくるぶし辺りになります。


実はこの日、滑り納めにゲレンデ併設のサウナに寄ってから帰る予定でした。ところが、駐車場で車から降りた瞬間、左足に今までにない激痛が走りました。
とてもサウナどころではなく、そのまま家に帰ることにしました。
途中トイレに行きたくなってコンビニに寄りましたが、ケンケンでしか店内を移動できないほど左足は使えなくなっていました。コーヒーを買おうと思いましたが、トイレが近くなるとまたケンケンする羽目になるので諦めて、お酒用のブロック氷とレジ袋を購入。
袋に氷を移し、溶けても水が漏れないように固結びをして左足首に取り付けて、なんとか家に着きました。
家に着いたのは土曜日の夜。足を地面に着けなければそこまで痛くなかったので、頑張ってシャワーを軽く済ませ、その日は早めに就寝しました。
🏥 診断:距骨骨折、そして「壊死リスク」の説明
翌日は日曜でしたが、朝一で病院の救急外来へ。レントゲン撮影で距骨骨折と診断されました。
会社への迷惑やその後の生活など、色々頭の中をよぎりましたが、どうすることもできません。ただ、土日で担当医が不在だったため「詳しいことは明日、担当医から」とのことで、簡易的なギプスを巻いてもらい、ロキソニンを処方してもらって帰宅しました。
翌日の朝一にあらためて受診し、MRIも追加で撮影。そこで距骨の説明を受けました。
「距骨は周りに走っている血管が極端に少なく治りが悪いので、壊死リスクがあります。こまめにレントゲンやMRIを撮って、骨がくっついてきているか(治癒していっているか)を診ていく必要があります」
診察室の椅子に座ったまま、しばらく次の言葉が出てきませんでした。初めての骨折の上に「壊死」という単語まで出てきて、頭の中では「このまま手術になるかもしれない」「歩けるようにならないかもしれない」という最悪のケースがぐるぐる回っていたのを覚えています。

あとになって分かったのですが、骨折後は患部が炎症しているので、温泉に浸かると悪化して痛みが増す恐れがあるそうです。あの日、温泉に入れなかったのは不幸中の幸いでした。
あのままサウナに入ろうとしていたかと思うとゾッとします。
また、あとから医師に聞いて初めて知ったのですが、壊死するかどうかの判断は「何か月か経っても骨がくっついてこない状態」かどうかで分かるそうです。
つまり、経過観察を続けながらレントゲン・MRIで骨の回復を確認していくしかなく、ある段階で「やはり手術が必要」となる可能性が最後まで残り続けます。
「手術なしで治せたのに、壊死で結局手術になる」というリスクが、回復途中もずっと頭の片隅にありました。幸いにも私の場合は壊死せず、手術なしで回復することができました。
📋 治療方針:幸い、手術なしの経過観察に
折れてはいるけれど比較的きれいな折れ方をしているので、手術をせずにこのまま経過観察でいきますという診断でした。手術の方が早く治るとは聞きましたが、正直手術が怖かったので、回避できてものすごくホッとしたのを覚えています。
入院もありませんでした。
私は手術をしませんでしたが、手術する場合としない場合では、入院や費用などにちがいがあります。一般的な目安を表にまとめました。
| 手術する場合 | 手術しない場合 私の選択 | |
| 入院 | 必要なことが多い(数日〜。術式や経過によります) | なし(その日に帰宅・あとは通院) |
| 骨の固定 | 金属のプレートやスクリューで固定 | ギプス+松葉杖で固定して安静 |
| 動き出し | 比較的早く動かせる場合がある | 骨がつくまで体重をかけられず時間がかかる |
| 費用 | 手術代がかかり高め(高額療養費制度の対象になることも) | 手術代はかからない(通院・装具代など) |
| 向くケース | ズレが大きい・壊死リスクが高いときなど | 比較的きれいな折れ方のとき |
※これはあくまで一般的な目安です。距骨骨折は折れ方の程度や病院によって、治療方針・入院期間・費用が大きく異なります。実際の判断は必ず主治医にご確認ください。私の場合は「比較的きれいな折れ方」だったため、手術なし・入院なしの経過観察になりました。

📅 回復までのタイムライン
受傷から仕事復帰までを時系列にすると、こうなります。

- 松葉杖の期間:約2〜3か月。両手用→片手のみ→松葉杖なし、の順番で卒業していきました
- 約3か月半で、足を引きずりながら何とか歩けるように。他の人と比べたら歩くのはかなり遅かったです
- 体を動かす仕事への復帰は7か月後。それまではPC業務をひたすらやっていました
- 車の運転は、折れたのが幸い左足でAT車だったので、怪我の期間中もなんとか続けられました

🚶 リハビリの内容
リハビリは週1回の頻度で通院しました。段階的に内容が変わっていきます。
- 初期:セラピストさんによるひたすらマッサージ。患部周辺の血行を促すのが目的です
- 中期:つま先を上げてセラピストさんの手に足の指を当てる運動を約10〜20回×数セット
- 後期(ギプス除去後):お手玉を指でつかんで移動させる運動・平行棒につかまって折れた足を少しずつ地面に着ける歩行練習・リハビリエリアで手で支えてもらいながら歩く練習
地味な動作の繰り返しですが、「これで本当に歩けるようになるの?」という不安を抱えながら一つひとつこなしていきました。
🛒 松葉杖生活で一番困ったのは「買い物」
はじめのうちはドライブスルーやデリバリーサービスを使っていました。ただ、さすがにファストフードばかりだと栄養が偏りますし、骨折で体を動かせないのも相まって体重増加の不安があり、なるべく使わないようにしていきました。

そうなるとスーパーに行くことになります。食料品だけでなく、洗剤やトイレットペーパーなどの日用品も必要だからです。
ここで問題になるのが、両手に松葉杖を持った状態で、パンパンに詰まった買い物袋を2つ抱えて帰らなければいけないこと。バランスを崩しそうになるし、体力を使うし、夏場だったのも相まってものすごく暑い。
とにかく大変でした。
あと、私はコンビニコーヒー(レジ横で淹れる出来立てのコーヒー)が好きなのですが、松葉杖では車に戻るまでにかなりこぼしてしまいます。このためだけに楽天でドリンクホルダー(カップキャリー)を購入したほどです。
選んだのはゴム製の、正直ちょっと安っぽいやつです。革製のしっかりしたものや、おしゃれなデザインのものもありましたが、高額だったり女性好みのデザインだったりで、いいものが見つかりませんでした。
「足が治れば使わなくなる」ことを考えると、高額である必要はない。低額で使いやすそうでシンプルなもの、という基準でこれに決めました。結果は大正解。
ゴム製なので多少の伸縮があり、車のドリンクホルダーに入るくらいの大きさの容器なら問題なく運べます。

🚿 お風呂・シャワー問題と「足用カッパ」
買い物の次に大変だったのがシャワーです。ギプスは濡らせないので、そのままでは満足に体を洗えません。
そこで買って良かったのが、ネオプレン素材の繰り返し使えるギプスカバー(防水シャワーカバー・大人の足用)。いわば「足用カッパ」です。
太もも辺りから足の指までスッポリ入るカッパ素材の袋で、足を通す部分がウェットスーツのようなゴム素材になっています。少し引っ張り広げて足を通し、手を離すと太ももにフィットする作りです。
これとは別に、足を通す所がシリコン素材の少し安価なものも売られていますが、レビューを見るとシリコン素材は水の侵入があるという内容があったので、少し高くてもネオプレン素材のものを強くおすすめします。

🩹 包帯とサージカルテープのローテーション
もう一つ買った方が良いのが包帯とサージカルテープ(包帯を留めるテープ)です。Amazonでも近くの薬局でもどちらでも構いません。
全治に向かう途中でギプスを半分に割り、包帯で巻き付ける状態になります。この時期になると足を洗える可能性が出てきます(あくまで入浴の時期は主治医と相談して決めてください)。
せっかく綺麗に洗った足に汚れた包帯を巻き付けたくないですよね。包帯とサージカルテープは合わせて1,000円もしないぐらいで買えるので、複数用意して包帯のローテーションをするのが、ニオイが気になる方にもおすすめです。
というより、交換しないと汚れた包帯のまま布団で寝るはめになります。仮に洗濯するとしても、乾くまでの間に使う替えの1式は欲しいところです。
※包帯とサージカルテープを私は近所の薬局で買いました。Amazonや楽天で買うなら、例えば次のような同種のものです。


🙏 その他、あって助かったもの
- パックごはん:レンジでチンするだけ。ササッと準備して、料理をせずに食事を済ませられます
- キャスター付きの椅子:折れた足を載せて、部屋からトイレや玄関まで自分を運んでくれます。有るのと無いのとでは移動のストレスが全然違います
- 冷凍食品や出前:動けない時期の強い味方(栄養の偏りにはご注意を)
- クロックスのような脱ぎ履きしやすい履物:片足が不自由だと、靴の脱ぎ履きすら一仕事です
■ パックごはん 私はアイリスオーヤマのものを何度もリピートしています。

■ キャスター付きの椅子
※私の椅子は近所のホームセンターで購入したもので、型番が分かりません。買うなら例えばこの種のものです。

■ クロックス(バヤバンド クロッグ) 私が実際に履いているモデルです。

💭 松葉杖生活で感じたこと
足の骨を折ると、生活の不便さを改めて感じます。階段は地獄です。さっきまでコンビニを走り回っていた小学生も、松葉杖の人物を見るとピタッと止まり、口を開けてジッと見てきます。
ドアを開けてくれる人は仏に見えてきますし、雨の日に傘をさしてくれる人には感謝しかありません。
行動範囲は極端に狭くなりますが、「足が治ったらどこに行こう」と色々頭の中で考えると、それはそれで楽しくなってきます。
🧊 腫れのアイシングは「氷や水」で
注意点として、骨折直後は炎症で足が腫れます。腫れを緩和するには冷やすことが重要ですが、湿布では冷却効果は低いです(体感で冷えていても、実際には冷えていない)。
私はアイシングは必ず氷や水で行うように教わりました。やり方は主治医に確認してみてください。
😌 現在の状態:「治った」というより「慣れた」
痛みはかなり収まってきましたが、怪我の前と比べると、一定の痛みはずっとあります。しかもこの痛みは「良くなっている」という感じがしないので、完全に消えるにはかなりの年月がかかるんだろうなと思っています。
今も痛いはずなのに特段つらく感じないのは、体に多少の耐性が付いてきただけで、痛みの強さ自体は変わっていないんじゃないかというのが私の考察です。
❓ 距骨頸部骨折のよくある質問(Q&A)
Q. 仕事を長く休むことになったとき、収入の補償はありますか?
A. 会社員であれば健康保険の傷病手当金が使えます。仕事以外のケガで働けず、連続する3日間を含めて4日以上休んだ場合に、4日目から1日あたり標準報酬日額の約3分の2が支給され、最長1年6か月まで受け取れます(給与が支払われている期間は対象外)。申請書に医師の証明が必要なので、通院のタイミングで相談しておくとスムーズです。
Q. ギプスや松葉杖のまま車を運転してもいいのですか?
A. ギプスの装着そのものを禁止する法律はありません。ただし安全な操作ができない状態での運転は道路交通法の安全運転義務違反になり得ます(違反点数2点・普通車で反則金9,000円)。判断の目安は「アクセル・ブレーキの踏み替えに支障が出ないか」で、固定側の足でも停車中に一度ペダル操作を試してから判断してください。また車内に松葉杖を積むときは、走行中に転がってペダル側へ入り込まないよう、助手席の座面などに固定しておくと安心です。いずれの場合も主治医に確認してください。
Q. 骨がくっつくのを助ける食べ物はありますか?
A. カルシウム・たんぱく質・ビタミンD・ビタミンKが骨の修復に関わります。カルシウムは骨の材料、たんぱく質は土台となるコラーゲンの材料、ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、ビタミンKは骨への定着を促す役目です。牛乳・ヨーグルト・小魚・納豆・卵・サケ・青菜あたりを意識すると自然に揃います。
Q. スノーボード中のケガに保険は使えますか?
A. 治療そのものは健康保険が使えます(業務外のケガなので自己負担3割)。それに加えてスキー・スノーボード保険に入っていれば、自分のケガの補償のほか、人にぶつけてしまったときの賠償、板の破損、救援者費用まで対象になります。1日単位で数百円から入れるものもあるので、シーズン券を買うタイミングで検討しておくと安心です。
📌 まとめ:同じ怪我をした人、スノーボードをする人へ
スノーボードについては、春に受傷して夏にはなんとか一人で歩けるレベルまで回復し、その冬には以前ほどではありませんが滑れるところまで戻ることができました。
ただし、キッカー(ジャンプ台)での飛びや足に過度な負担がかかる滑りは今でも極力控えています。また歩けなくなると自分の生活が不便になるうえ、職場にも迷惑をかけてしまうためです。
完全に元通りとはいきませんが、「スノーボードができなくなった」わけではないということは、同じ怪我をした方にお伝えしたいと思います。
- 疲れている時の「あと1本」が一番危ない。頭が回らない状態では、いつもできる判断ができなくなる
- 骨折しても「強めの捻挫かな?」程度にしか感じないことがある。違和感があったら無理せず、早めに病院へ
- 距骨骨折は壊死リスクがあると説明される骨折。医師の指示どおり、こまめに経過を診てもらうことが大切
- 骨折直後の温泉・サウナは炎症を悪化させる恐れあり(私は偶然回避できました)
- 松葉杖生活は「買い物」と「シャワー」が二大難関。ギプスカバー・包帯ローテ・キャスター椅子が救世主
- 焦らなくていい。「治ったらどこへ行こう」を楽しみに
他にも書きたいことはまだまだありますが、この辺りで終わらせていただきます。同じ怪我をしてしまった方の不安が、少しでも軽くなれば嬉しいです。
ありがとうございました。

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