
ゲレンデで滑りが上手い人を見て、「あの人みたいな格好で滑りたい」と思ったことはありませんか。
正直に言うと、これは思いっきり真似していってください。理由は3つあります。
①いきなり正解に近い格好に辿り着けるので、遠回りの出費が減ります。②お気に入りのアイテムを持っているだけでテンションが上がり、ゲレンデに行きたくなるので上達も早くなります。③今は動画やSNSで欲しい格好の情報が簡単に手に入る時代なので、この恩恵を受け取らない手はありません。
なので、真似すること自体はまったく悪いことではありません。ただ、1つだけ気をつけてほしい落とし穴があります。
💡 この記事でわかること
- ✅初心者が上手い人の格好を真似ていい理由
- ✅真似する時に1つだけ気をつけたい落とし穴
- ✅板・ウェア・雰囲気から分かる5つの滑りタイプの特徴
🩳 真似する時の落とし穴、実は私も経験しました

以前、YouTubeで見て「このパンツが欲しい」と思い、動画のスクリーンショットをお店の店員さんに見せて紹介してもらったことがあります。ただ、実際に着てみるとイメージと全然違いました。
原因は、動画そのものではなく「スクリーンショット」を見せたことでした。動画なら、色々な角度からの見え方や、その人がどんな滑りをしているかなど、たくさんの情報が伝わります。しかし静止画1枚では、そのウェアが持つ「系統」の情報がほとんど伝わりません。あの時、動画そのものを見せていれば、店員さんもより正解に近い商品を紹介できていたはずです。
もしかしたら、その店員さんがたまたま系統に詳しくなかっただけで、別の店員さんなら見抜けていたかもしれません。
同じ失敗をしてほしくないので、私の失敗を反面教師にして、本当に欲しいアイテムを手に入れてください。
👀 格好は「板・バインディング・シルエット・雰囲気」の総合で決まる
滑りのタイプは、板だけを見ても、ウェアだけを見ても分かりません。板・バインディング・シルエット・全体の雰囲気を重ねて見ることで、初めて「この人はこういう滑りが好きなんだな」と見えてきます。
ここからは、私が実際にゲレンデで見てきた5つのタイプの特徴を、系統別に紹介します。自分が憧れる格好がどのタイプに近いか、探しながら読んでみてください。
🛹 グラトリ(グラウンドトリック)系

このタイプは、ゲレンデの平地でオーリーやノーリーなどの技を繰り出し、華麗な滑りを魅せる遊び方です。「グラウンドトリック」の名前の通り、専用のジャンプ台やパイプなどの人工物は使いません。憧れの技として、ノーリー720などが代表技として挙げられます。
■ シルエット
かなりゆったりめのシルエットが多く、ダボダボしたウェアが多いです。
■ 帽子・目元
ビーニーすら被らない人もちらほら見かけます。ゴーグルよりサングラスの着用率が高めです。ヘルメットも被らない人が圧倒的に多い印象です。圧雪されたバーンの上を低速で滑る種目なので、ジャンプ系ほど転倒のリスクが高くなく、必要性を感じにくいのだと思います。
■ 年齢層
比較的若い人が多い印象です。男女で集団で練習している光景をよく目にします。
■ 板ブランド
011(ゼロワンワン)・FNTC・SPREAD、最近ではGT SNOWBOARDやCROOJAなど、グラトリ専門ブランドを持っている人が多いです。ほかにRICE28・YONEXも有名だそうです。
■ 板の形状
グラトリ系の板は、真横から見ると接雪する部分がなだらかな波を描く「ダブルキャンバー」という形状のものが多いです。写真はグラトリ専門ブランドGT SNOWBOARDの人気モデル「BUFF」を横から見た形状で、ノーズとテールが大きく跳ね上がり、中央には浅い山が連続しています。しなりが柔らかく、板をひねる操作がしやすいのが特徴です。

■ 背景にある文化
インフルエンサーの影響がかなり大きいタイプです。グラトリはスノーボード経験者でも技の習得が非常に難しい特殊分野で、「道具が悪いのか自分のスキルが足りないのか」の切り分けが難しい種目です。だからこそ、上手い人と同じ道具を揃えて、周りと一緒に試行錯誤しながらスマホで動画を撮り合い、正解を探していくという文化が根付いているように感じます。例えば、GT SNOWBOARDSのオーナー梅野航希さん(こきっすん)はYouTubeやInstagramでグラトリのハウツーを発信し、多くの実践者から支持を集めています。SPREADの尾川慎二さん、CROOJAの絵幡将平さん・中川智貴さんなど、ブランドと結びついた象徴的な存在がいるのもグラトリ文化の特徴です。彼らが手がけるブランドの板を持っている人を見かけたら、グラトリに力を入れている可能性が高いです。
🏂 バーン攻め系(カービング中心の滑り)

カービングを専門的にやっている人の中には、見た目で分かりやすい代表的な2つのパターンがあります。
■ シルエット
グラトリ系と対照的に、細身のシルエットが多い印象です。
■ ヘルメット
被っている人を比較的よく見かけます。
■ グローブ
時によりますが、オーバーミトンを着用している人もいます。スノーボードには「ビッテリー」という、片手もしくは両手を雪面に付けて体を浮かせながら滑る技があります。この技はグローブの隙間から雪が入りやすいので、隙間ができにくいオーバーミトンで対策している人がいます。よって、オーバーミトンを着用している人はかなりの確率でカービングをしている人です。
■ 板の形状
板の特徴として、ハンマーヘッドという形状の板が挙げられます。ノーズとテール(板の先端と後端)は反り上がる位置が先端のごく短い区間に集中していて、通常の板より反りがコンパクトなのが特徴です。そのぶん雪面に接する部分(有効エッジ)を最大限まで伸ばした形状になり、エッジが雪面にしっかり食い込む「キレ」のあるターンがしやすくなります。

■ パターン①:MARQLEENを着ている人
私が昔1度購入したことがある「MARQLEEN(マークリーン)」というブランドを着ている人は、ほぼカービング勢というのが私の経験則です。細身のシルエットでヘルメットを被っていたら、だいたいこのタイプに当てはまります。このブランドは日本画のようなデザインが多いのも特徴的です。さらに、腰やパンツの部分から帯のような紐が垂れ下がっているのも、このブランドらしいシルエットです。
■ パターン②:平間和徳(ラマさん)に憧れている人
カービング・コブのデモンストレーションで有名な平間和徳さんという選手がいます。彼のカービングスタイルが好きで神格化している人は、彼とほぼ同じような格好をしているので、見た目ですぐに分かります。通称「ラマさん」と呼ばれる彼に憧れている人は、鍔付きのキャップを被っていることが多い印象です。サングラスかゴーグルはおそらくSMITHのブランド、ウェアは絶対ではありませんがPICTUREのものが多く、バインディングはFLUX、板はBC STREAMという組み合わせをよく見かけます。
❄️ パウダー系(新雪志向)
朝一番のゲレンデで、前の晩に降った、まだ誰にも荒らされていない新雪を滑る。そんな遊びを専門にしているタイプです。

パウダー系の板は、専用のパウダーボードを使っている人が多いです。GENTEMSTICK(ゲンテンスティック)やMOSS(モス)は、パウダーボード専門の高級ブランドとして知られています。パウダーを滑るのはかなり体力を使うので、1日パウダーだけ滑って終わり、という人が多い印象です。年齢層は比較的年配の方が多く見え、長時間滑り続けている人は少ないように思います。バックパックを背負っている人も多いですが、中身は組み立て式のスコップなど新雪対策の道具や、行動食であることがほとんどです。例えば、パウダーライディングを専門とするFOSSIL SNOWBOARD代表の名取崇史さんなど、パウダーの技術と美学を追求する象徴的なライダーがいます。彼が手がけるFOSSIL SNOWBOARDのウェア・板を身につけている人を見かけることもあります。
■ 板の形状
パウダー系の板は、テールが「スワローテール」というつばめの尾のような形状をしていることがあります。テール側だけがV字に切れ込んでいて、パウダーの中で板の後方が沈み込みにくく、浮力を保ちやすいのが特徴です。

仲間内で映像を撮り合っている「フィルマー」のグループだと、さらに独特な遊び方をしていることがあります。裏山に入り、スコップで自分たちで道を切り開きながら登り、頂上付近に自分たちだけのジャンプ台(ワンメイク)を作って、それを飛ぶ。ゲレンデには存在しない、自分たちで一から作り上げる遊び方です。

🏔️ バックカントリー系
同じ「雪山を滑る」でも、パウダー系とは全く別物の遊びです。舞台はゲレンデではなく、管理されていない大自然。登山をして山頂近くまで登り、そこから滑走する。そんなスタイルです。管理されたスキー場のリフトを使い、コース脇の非圧雪エリアを滑る「サイドカントリー」という遊び方もこのタイプに含まれます。バックカントリーとの違いは登山(登行)をするかどうかで、サイドカントリーはリフトでアクセスするぶん登りの手間はありませんが、滑走エリア自体はスキー場が管理していない区域なので、雪崩ビーコンなどの装備が必要な点はバックカントリーと同じです。
板は普通のツインボードなど、意外と一般的な板を使っている人が多いタイプです。それよりも見た目で一番分かりやすいのは登山のようなスタイル。ブーツにスノーシューを装着し、両手にストックを持ち、サングラスをかけて、バッグにスノーボードの板をくくりつけている格好をしていたら、ほぼこのタイプです。バッグの中身も、パウダー系の新雪対策グッズとは違い、雪崩ビーコン(雪崩に埋まった際に位置を知らせる発信機)など登山寄りの装備が入っているのが特徴です。バックカントリー・フリーライド専門のJONES(ジョーンズ)というブランドを使っている人もいます。例えば、工藤洸平さんが手がけるブランドNOMADIKのチームライダーとして活動する國母和宏さんや、元五輪代表からバックカントリーに転向し、SALOMONのライダーとして板の開発にも携わる中井孝治さん、日本のバックカントリーの草分け的存在である竹内正則さん、YouTubeの人気Vlog「道楽」で國母和宏さんらと共に活動する吉田啓介さんなど、この分野を切り拓いてきた名だたるライダーがいます。國母和宏さんが手がけるNOMADIKや、中井孝治さんのようなウェア・シルエットを意識している人を、インスタなどでよく見かけます。

🎿 ジブ・キッカー系(パーク・レール中心)

このタイプは、スキー場内に設置された「パーク」というジャンプ・障害物専用エリアで遊びます。ジャンプ台を意味する「キッカー」を使ったジャンプや、レール・ボックスなどの人工物の上を滑る「ジブ」と呼ばれる技を中心に楽しみます。
■ 板
圧倒的にツインボードが多いです。
■ 板の形状
このタイプは「オールマウンテン」という、特に尖った特徴のない標準的な形状の板に乗っている人が多いです。ノーズ・テールともにクセのないなめらかな反りで、パーク・ジブからバックカントリーまで、ある程度どんな滑りにも対応できる汎用性が持ち味です。

■ 板ブランド
あくまで私の主観ですが、BURTON・Salomon・YONEX・CAPITA・RIDE・NITRO・GNU・LIB TECH・RICE28・011・DEATH LABEL・OGASAKA/SCOOTERあたりを持っている人が多い印象です。
■ 逆説的な見分け方
昔からパークばかりしている人ほど、実は格好にこだわっていないことが多いです。むしろ昔買ったウェアをそのまま着続けている人ほど、流行を追っていない=キャリアが長くて上手い場合が多いという逆の相関があります。そういう人はほぼヘルメットを被っていません。
■ もう1つのサイン
一方で、小学生から大人まで、パークの入口でしっかりヘルメットを被っている人はパーク経験が長い人が多いです。「ヘルメット+パーク入口」という組み合わせは、実は経験の長さのサインだったりします。高回転の技を練習するレベルになると、着地の失敗が本当に危険なので、プロやガチで練習している人ほどヘルメットを着用します。
🔍 板の形状からも見分けられる
ここまで挙げたタイプ別の中でも、板の形状はかなり見た目で分かりやすいポイントです。
■ グラトリ系:ダブルキャンバー
前足・後ろ足のバインディング位置あたりにそれぞれ山があり、板の中心とノーズ・テール側は浮いている、横から見るとアルファベットの「M」に近い形状です。
■ バーン攻め系(カービング):ハンマーヘッド
ノーズとテールが丸くなく、上から見ると長方形に近い形をしています。見るからに硬そうな印象を受けます。
■ パウダー系:スワローテール
テールがつばめの尻尾のように切れ込んだ形状の板が有名です。
■ ジブ・キッカー系:板の硬さ
板の形状というより「硬さ(フレックス)」で見分けられます。板の硬さは一般的に1〜10段階の数値で表され、数字が小さいほど柔らかく、大きいほど硬い板です。柔らかくしなる板はジブでスタイルを出しやすく、初心者・中級者向けの小さいキッカーで遊ぶ人に向いています。一方、上級者向けの大きいキッカーに挑む人は、着地の衝撃を受け止められる、程よい硬さの板を選ぶ傾向があります。
■ バックカントリー系:バインディングの位置
板の形状だけでは判断しづらいタイプですが、前後対称の「ツインチップ」ではなく、バインディングをやや後ろ寄りに取り付ける「ディレクショナル(セットバック)」というスタイルで滑っている人もいます。重心をテール側に寄せることでノーズが浮きやすくなり、深雪でのライディングがしやすくなるためです。
🎯 まとめ:自分が憧れるタイプを、思いっきり真似しよう
ここまで5つのタイプを紹介してきましたが、実際にはきれいに分かれているわけではなく、混ざっている人がほとんどです。それでも、自分が「こんな滑りに憧れるな」と思うタイプが見えてきたら、そのタイプの人がよく身につけている板・ブランド・シルエットを思いっきり真似してみてください。
繰り返しになりますが、真似することは遠回りではありません。むしろ、遠回りを防ぐ一番の近道です。
❓ 滑りのタイプ診断のよくある質問(Q&A)
Q. グラトリとバーン攻め系、初心者はどっちのタイプから憧れて始めても大丈夫ですか?
A. どちらから始めても問題ありません。自分が見ていて楽しいと思う方を選べば大丈夫です。上達のしやすさより「憧れが続くかどうか」の方が長く続ける上では重要です。
Q. 板のブランドで系統が分かるなら、板だけ見て決めた方が早いですか?
A. 板だけで決めるのはおすすめしません。同じ板でも、乗る人のシルエットやバインディングのセッティングで印象がかなり変わるので、板・ウェア・全体の雰囲気をセットで見るのが一番外しません。
Q. 高いブランドじゃないと、その系統っぽく見えませんか?
A. 高いブランドである必要はありません。シルエットや色使いの傾向さえ掴めば、価格帯にかかわらずその系統らしい格好は作れます。
Q. バックカントリー系の道具(スノーシュー・ストック)は初心者でも必要ですか?
A. 初心者のうちは不要です。バックカントリーはゲレンデの外に出る上級者向けの領域なので、まずはゲレンデ内で滑りを固めてから検討すれば十分です。実際に挑戦する段階になっても、講習を受けて道具を揃えただけで個人で行くのはおすすめできません。日本雪崩ネットワークによると、講習1回程度の経験では雪崩に対する十分なスキルとは言えず、パトロールもいないバックカントリーでは自分で危険に気づき対処する必要があります。フィールドに精通したガイドが同行するツアーに参加するのが、実際には一番安全な選択です。
💡 バックカントリーの安全情報
日本雪崩ネットワークによると、シーズン1〜2日の経験を何年重ねても十分な雪崩スキルとは言えず、パトロール体制もないバックカントリーを個人の判断だけで滑るのは危険とされています。挑戦する際は、フィールドに精通したガイド同行のツアーに参加するのが安全です。
📝 持ち帰り|タイプ別早見表
※あくまで私が見てきた範囲での経験則です。すべての人に当てはまるわけではありません。
| タイプ | シルエット | ヘルメット | 板の傾向 | 年齢層 |
|---|---|---|---|---|
| グラトリ系 | ゆったりめ | 被らない人が圧倒的に多い | 011、SPREAD、GT SNOWBOARD、CROOJA | 比較的若め |
| バーン攻め系 | 細身 | 被っている人が多い | ハンマーヘッド・BC STREAM | 幅広い |
| パウダー系 | 雪が入りにくい格好 | ー | パウダーボード | 年配寄り |
| バックカントリー系 | 登山スタイル | ー | ツイン等・一般的な板(JONES等) | 幅広い |
| ジブ・キッカー系 | こだわらない人が多い | 初心者・ガチ勢は着用 | BURTON・Salomon・YONEXなどを筆頭にツインチップの板 | 幅広い |

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